努力の定義
母校である桐光学園でGKコーチを始め早4ヶ月が経ちました。
先日、インターハイ神奈川県予選を優勝し、神奈川県第一代表として7月末から沖縄で始まる全国大会の切符を手にすることができました。
指導者を始めてこんなにも早く、全国大会の舞台を経験できることが本当に楽しみです。
ピッチ上で戦ってくれた選手、いつもご指導頂いている監督とスタッフ陣に感謝しかありません。
さて、本題の『努力』について。
指導者になってから努力ということについてより一層考えるようになりました。
皆さんは努力していますか?
努力してるかどうかを何で判断しますか?
頑張ること=努力ですか?
努力と根性を間違えていませんか?
恐らく、僕を知っている皆さんの僕に対するイメージとして「努力家」というのがあるのではないかと思います。
ですが、世間一般で言われている「努力家」とはイメージがズレているように思います。
何故なら、僕の場合は「いかに少ないエネルギーや時間やコストで、最大限の結果を出せるか」ということを重要視しているからです。
例えば高校時代、定期テスト時には1ヶ月前から勉強を開始して、1週間前にはテストを受けれる状況を全科目で3年間作り続けました。
これだけ聞くと、「とんでもねえガリ勉だ、、」と思われるかもしれませんが、この方法こそが僕がサッカーを続けながら慶應に入る最も確実な方法だったのです。
高校3年生の1月まで部活を引退出来ないのは分かりきっていたので、一発勝負の受験ではなく指定校推薦で慶應に入ることを入学時点で目標としました。
結果的に「評定平均5.0」つまりオール5で推薦枠を勝ち取りました。
何故、そこまでして慶應に拘ったか?
「サッカーが強かったから」
「家から近いから」
「両親の出身大学だから」
「4年間サッカーやってても何とかなりそうだから」
こんな感じです。
僕にとって勉強とはサッカーを全力でやるための「保険」であり、選択肢を拡げるための「手段」であり、「目的」ではありませんでした。
目標とその理由が明確であればあるほど、人間はそこに向けて努力ができる。と思いますし、僕はそうです。
僕の中で、努力は「量」と「質」に分けられると考えます。僕自身はどちらかと言えば、「質」に拘ってきました。
何故なら、「量」は差がつきにくい。高いレベルになればなるほど、「量」は当たり前になるからです。
一方で、どの様に頑張るか。という「質」については差がつきます。では具体的にどこで差がつくのか。
僕は「考えること」が習慣になっているか・なっていないか。が差になると感じています。
サッカーの練習を例に挙げます。
全体練習では、コーチがチームの課題をベースに練習メニューを考えるので、型が与えられています。
良くも悪くも、メニューをこなすだけでもコーチの意図通りには上手くなっていきます。
しかし、同じメニューに取り組む中でも「コーチは何を意図してこのメニューを組んでいるのだろう」とか「このメニューの中でも自分の課題を意識して取り組もう」とか、考えることが習慣になってる選手は伸び代が違います。
たった4ヶ月でも、伸びてる選手と伸び悩んでる選手が明らかに分かります。
毎日の小さな積み重ねが少しずつ、そして確実に。大きな差になります。
会社でも同様です。
研修を受けたり、上司から仕事が振られた時にこなしているだけの人と、考えて取り組んでいる人とでは少しずつ、確実に。大きな差が開きます。
社会人5年目にして、前職の同期間でも役職は勿論、ポストや配属で明らかに差が開いているのを客観的に目の当たりにしています。
その上で、僕が指導者として子供達にやるべきこととして、
①考えることが習慣になっている選手
・ヒントを与える
「こうしてみたらいいんじゃない?」
「こういう考え方もあるんじゃない?」
→考え方の枠を拡げる質問を投げかける
②考えることが習慣になっていない選手
・考えるトレーニングをする
「何故、今ミスしたと思う?」
「何故、今成功したと思う?」
「どうしたら今のボール取れたと思う?」
「今日の試合は自己採点で何点?」
→自問自答できるレベルではないので、他問自答からスタート
という様な指導を心掛けています。
GKコーチなので、言ってしまえばGKのことは教えられて当たり前。
その上で、僕がGKコーチを務める付加価値は子ども達に「考えること」を同時にトレーニングすることかなと。
僕が思う努力の定義とは「目標達成のため考えること+行動すること」です。
考えるだけでも、行動するだけでもダメ。
どちらも出来る人間にそれでは絶対に勝てない。
例えば、ウエイトトレーニング。
何も考えずに、ガシガシひたすら一生懸命トレーニングしても結果は出ません。成長しません。
身体を強く大きくするには、適切な栄養と休養が必要になります。
どの部位を・どの位の強度で・週に何回・全体練習の前か後か・トレーニング後はどんな食事を摂るか・というようなポイントを考えてトレーニングしないと強くならないどころか、怪我をするリスクも高くなります。
ここではウエイトトレーニングを例に挙げましたが、これはサッカーや仕事でも同様だと僕は考えます。
自分で考えて、自分で情報を収集した上で全力で行動するからこそ最大の結果を得られるのではないでしょうか。
極論ですが、考えていないということは努力していないに等しい。
高校生の子供達にとっては厳しい要求かもしれませんが、「考えること」については妥協しないで伝えていきたいと思います。
「考えること」の重要性や意義や面白さを通して、GKが上手くなって欲しい。そして社会で活躍する人財に成長してもらいたい。
僕自身も、指導者としての在り方や今後の自分の在り方ついてもっともっと考えて、子供達と一緒に成長していきたいと思います。